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ピンクの扉
第16章 真実の愛
『あなた…どうか早く来て…』
だが、その前に寒空の下、
このままでは凍え死にそうだった。
そんなところに
前方からヘッドライトの灯りが見えた。
一瞬、男が目を覚まして
桃子を追いかけて来たのかと思ったが、
それならば後ろから来るはずなので
男とは違うとわかった。
ヒッチハイクでもして
近くの街に連れて行ってもらわなければ…
桃子は必死で両手を振って
近づいてくる車に合図をおくった。
車が近づいてくるにつれて
それが大型のトラックなのだと認識できた。
トラックは桃子を見つけると静かに停車した。
「あんた、こんなところで何やってんの?死ぬよ!」
運転手はそう言って、
早く乗りなとトラックに乗せてくれた。
車内はヒーターがよく効いていて快適だった。
凍り付きそうだった桃子の体が
ゆっくりと暖まってゆく。
「で…どこまで乗せればいい?」
そう聞かれたので「
近くの駅でもいいのでお願いします」と答えた。
「近くの駅っていったって、
ここらは無人駅だしよぉ。
そんなところに行っても凍え死ぬだけだぜ」
仕方ねえ、ホテルのある街まで送ってやるよ
運転手はそう言ってトラックを発車させた。