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ピンクの扉
第11章 東京
その頃、東京の自宅では…

桃子が一週間、夫の元へ行くというので
娘が彼氏を家に招いて
しばしのミニ同棲を企んでいた。


「ほんとに寝室を使っても叱られない?」

彼氏はオドオドしていた。

「叱られるもなにも、
当の本人達が留守なんだからかまわないわよ
こんな大きなベッドを
使わずに遊ばせておくなんて勿体ないわ」

桃子の一人娘由佳がそう言って
ボーイフレンドの佐藤明夫を
夫婦の寝室に招き入れた。


「由佳が言っていたとおり
ほんとに大きなベッドだなあ」

つい先月にこのベッドで
桃子に愛の手ほどきを受けて
寝室の隅々まで知っていた佐藤だったが

彼女の母親と肉体関係があったとバレたら
由佳と破局になるのは目に見えていたので
寝室に脚を運び入れるのは初めてだという風に芝居をした。


「今日から一週間、ここが私たちの寝室よ」

コンドームだって、
こんなにたくさん…ほら、見て…

由佳は寝室の片隅に無造作に置かれている
段ボール箱のフタを開けて
中身を彼に見せてあげた。


「勝手に使うとバレるだろ」

「こんなにあるのよ。
1ダースや2ダースを使ったところでバレないわよ」


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