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回想ディスコ
第3章 「正弘の場合」
「え~じゃあシャネちゃんとはそれっきりなの?
 連絡先とか交換しなかったの?」

あの頃は携帯電話なんてない。
連絡先といったら自宅の固定電話か会社の電話。
1人暮らしなら自宅への電話も気軽にできるが、
実家暮らしの者にはなかなか電話は掛けずらい。
私は実家暮らしだったから、男に連絡先はほとんど教えなかった。

「うん、連絡先交換しようって言ったんだけど、ここで会えるからいいじゃないって
 教えてもらえなかったんだ」

空気でもみつめるかのように、うつろな眼差しを泳がせている正弘さん。
その横顔からは結び付けられない、あの思い出に・・

「一年後、やっと解禁になってワンダーランドに行ったんだけど、
 もうシャネちゃんに会う事はなかった。
 あの時の友だち、ディオちゃんにもイブサちゃんにも会わなかった。
 みんな卒業しちゃったみたいで・・
 あ~あ、どうしてるかなぁ、シャネちゃん・・」

1人、遠い世界に行っちゃってる正弘さんを笑い飛ばした裕子さんが、
いきなり私に声をかけた。

「よし!じゃあ最後、ヒロミさんの番よ。
 マサヒロさんに負けないおもしろい話、たのむわよ!」

ドン!と裕子さんは私の背中を叩いた。
重い口から心臓が飛び出そうだった。

だって、私の話・・
私の・・じつは・・・・
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