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want to be ...
第2章 出会い






そっと彼の元に戻り、顔を覗き込む。


…起きない、よね?


寝ている彼の体に触れないよう、ベッドカーテンをそっと閉める。


小走りでベッドを離れ、部屋とお風呂場を繋ぐ扉を閉めて鍵をかけた。


ふう、とひと息ついて心を落ち着かせ、ふと足を伝った感覚に眉を寄せる。


…早く、何もなかった事にしよう。


暁くんに出された精液を完全に掻き出し、体を軽く洗う。


薔薇風呂をしばらく楽しみ、次に来る時は大好きな人と来てゆっくり入ろうと誓って脱衣場を後にした。


「…」


同じ服と同じ下着…躊躇うけど仕方ない。


タイツは部屋の中の自販機で買い、でも何となく穿かずにカバンの中に仕舞う。


まだ夢の中にいるらしい彼の元に近づき、カーテンを開けてそっとベッドに腰掛けると


「ん…」


と彼が声を上げた。


その声に驚いて振り返って彼の顔を覗き込んだけど、ただの唸りのようで。


…起こしちゃったのかと思った。


ホッとして小さくため息を吐くと


「…き。…さき…」


小さな声が聞こえた。


「美咲(みさき)…、好きだよ…」


…美咲?彼女さんの名前かな?


寝言で告白するなんてどれだけその人の事好きなんだろう。


彼に近寄り顔を覗き込んで…眉を下げた。


彼の頬を流れる一筋の涙。


…あぁ、この人は片思いをしてるんだ。


きっと、叶わぬ片思い…


…あれ、どうしてかな。


彼を凄く守りたい…


数10分前に会ったばかりで年も、ましてや名前すら知らないのに…


静かに流れる涙が彼の長い睫毛を濡らし、頬を伝っていく。


ねぇ、泣かないで…お願い。


立ち上がって彼のすぐ近くに座り、涙を指でそっと拭って頭を撫でた。


「泣かないで…」


小さく呟くと微かに眉をひそめた彼。


「あっ…」


起きちゃう!?


二重の瞳がゆっくり開き…あたしを、捉えた。


「…、美咲…?」


綺麗な唇から紡がれる女の人の名前。


「っ…あ、はい…」


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