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want to be ...
第9章 さよなら
「杏奈。今日飲みに行こう」
泣き腫らした真剣な表情であたしに言う雫。
「…仕方ないなぁ」
結局、講義を1限分サボっちゃったあたし達。
無言で壁に寄りかかり、あたしは蒼汰さん…雫は先生のことを考えてたんだろう。
綺麗に微笑む雫は、何か覚悟を決めたんだ。
…あたしだって。
いつまで経っても来ない、愛しい人からの連絡。
きっと、もう…
だから、あたしも覚悟を決める。
お互いの意思を更に固くする為の、意思表示。
雫は津田先生と。
あたしは、蒼汰さんと…
その日の夜。
「今日友達と飲んでくるから、夜ご飯作れない」
そうお兄ちゃんに連絡を送り、予約しておいた居酒屋に来たあたし達。
広い店内に、透けない簾のみで区切られた個室がいくつもある、オープンでありオープンでないお店。
あちこちから、大声で喋る男の人の声や女の人の笑い声が聞こえてくる。
席に着いた途端ワインを頼み、ググッと一杯、一気に飲み干した雫。
グラスをドン、と机に置き
「あたし、瑞季とさよならする」
決意の強い瞳で、言い放った。
「そっか…後悔、しない?」
「どうかな…まだ分かんない。だけど、決めたの。
この後瑞季の家行って、無理矢理でもいいから
抱いて貰って…告白して、振られてくる」