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want to be ...
第9章 さよなら
「もう、セフレなんてやだ。身体だけなんてやだ。
彼女になりたい。なりたかったっ…」
「堂々とデートして海とか旅行とか行って
恋人同士がするようなキスもセックスもして、
美咲さんに向ける優しい表情を向けて貰いたかった…」
言葉も涙も止まらなかった。
嗚咽を堪えながら、必死で蒼汰さんとのいい思い出も悪い思い出もほとんど話した。
しばらく2人で泣き続けて、化粧がほとんど取れちゃった顔に笑顔を浮かべて雫は言った。
「凄いよ、杏奈。
矢野さんの悪いところたくさん言えてたんだもん。
普通は、…あたしはあんなに言えない…
ちゃんと矢野さんに向き合ってるんだね。
もちろん人にいいところも悪いところもあるけど、
こんなに蒼汰さんの悪いところも言えて、でもそれを
全部受け入れた上で一緒にいる杏奈、凄いよ」
「あたしが男ならよかった。
あたしが男なら、絶対杏奈を彼女にするのに。
絶対泣かせないでめっちゃくちゃに甘やかして
溺愛して、一生幸せにするのに」
「あたしが蒼汰さんなら、絶対杏奈を離さない。
こんないい子、あたしなら絶対離さない」
「杏奈、今までよく頑張ったね。なかなか出来ないよ。
好きな人の代わりとして抱かれるなんて」
雫の珍しい慰めの言葉に更に涙腺が緩んで…あたしは雫に抱きついて泣きじゃくった。