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want to be ...
第9章 さよなら
「へ…?」
言いかけたこと?
あったっけ…
「…何か言いかけてたっけ?」
「言いかけてたじゃーん!痴話喧嘩起こる前!」
言いかけたこと。
言いかけたこと、言いかけたこと…
しばらく考えてたけど、結局思い出せず。
「…忘れた」
「えぇー!?何か気になるニュアンスだったのにぃ」
「ごめ、全っ然覚えてない…」
「…んん、まあいっかぁ。…よし!
いっぱい飲めたし話せたし…そろそろ出る?」
「そうだねぇ」
いつものくせで時計を確認し、だいぶここにいたんだなぁと思う。
せっせと化粧直ししてる雫をよそにお兄ちゃんに電話をかける。
19コール目でやっと出たお兄ちゃんの声は、ものすごく不機嫌そうだった。
「…あ゙?」
「ねぇ、○○に迎えに来て~」
「はっ?何で」
おぅ…これは相当機嫌が悪い。
理由は分かってるけど…
「何でじゃない…
○○まで迎えに来てって言ってるの~お願い〜」
「お前…今日俺がどれだけ苦労したと思ってんの。
悠翔のご飯作って風呂入れて、
やーっと寝て一息ついたところだったのに勘弁しろよ…」
「優奈ちゃんやあたしの有り難み分かったでしょ」
「…ハイハイ。イツモアリガトウゴザイマス」
「あっ、お酒飲んでないよね!?」
「…チッ、飲む寸前だった。はぁ…仕方ない。
可愛い妹のためだ。今から行くから。じゃあな」
「ありがと~」
へらりと笑って電話を切ると、雫が興奮気味に話しかけてきた。