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want to be ...
第9章 さよなら
「ねね、今の秋様?秋様っ!?」
「…、そうだけど…やめてよ、様つけるの…」
「だってぇ~!秋様は秋様じゃん!」
「意味分かんないこと言わない」
「むぅ、杏奈冷たい~!
酔ってないの?酔ってないのか~?」
酔ってるよ…ふわふわしてるもん。
「はいはい酔ってます。行くよ雫」
「はぁい、お母さん~」
…大丈夫かなこの子。
今から先生のところ行くのに。
何とか会計を終え、値段に少々驚きつつ店を出て入り口の横の壁に雫を寄りかからせる。
「雫ー?大丈夫?今から先生のところ行くんでしょ?
どうすんの、そろそろ終電出ちゃうよ」
「…ん、大丈夫~。さっき連絡したからぁ」
「誰に?」
「んん~?瑞季にぃ」
…いつのまに。
そして肌寒さに身体を縮ませた時、私服の上に何も羽織ってないことに気付いた。
「あっ…中にコート忘れて来ちゃった!
雫、コート取ってくるからちゃんとここにいるんだよ?」
「はいはーい」
にこにこ笑って手を振る雫を呆れて見て再び店内に入り、あたし達が座ってた席まで歩く。
イケメン(?)2人が座ってる席をチラリとも見ず通り過ぎて、机の端に置いてあるコートを腕にかけ、店員に会釈し店を出た。
…この時。
その2人の顔を見てたら、未来は違ってたのかな。
あたしはその2人が、蒼汰さんと大樹さんだったなんてことは…知る由もなかったんだ。