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want to be ...
第10章 杏奈と蒼汰
大声で叫ぶと、クラッと視界が揺れて倒れてしまい、
「バカ…ちゃんと寝てろ」
お兄ちゃんが慌てて身体を支えてくれた。
「お兄ちゃんが言わせたからじゃん…」
「…まあな。ふーん…彼氏ねぇ…。でもこの1週間ちょっと、
俺らに遠慮してたのか何なのか知らないけど、杏奈…
一度もそいつと出掛けたり家に来たりしてないよな?」
…ギク。
「そ、それは…っ蒼汰さん、忙しいから…」
「まあ確かに、2個上なら社会人1年目だしな。
忙しいかもしれねぇけど…連絡すらしねぇの?
それに杏奈、俺らが来た日…ずっと泣いてたんだろ。
何かあったんじゃないのか?その彼氏と。
普段ほとんど飲まないのに、こんな二日酔いになるまで
酔って帰って来るのも普通じゃねぇし」
見透かされてる…
「…勝手に推測しないで」
「だってお前…何年兄妹やってると思ってんの。
唯一血の繋がった家族だぞ。杏奈が俺をよく知ってるように
俺だって杏奈のことよく知ってる。
嫌でも分かるわ、何か抱えてるなーって。
1人で溜め込むなっていつも言ってんだろ」
お兄ちゃんは優奈ちゃんと結婚してから、ものすごーく丸く柔らかくなった。
声や雰囲気、顔つきも。
あたしに対する態度も。
「ゆっ…うなちゃんに家追い出されてる
お兄ちゃんに言われたくないもん」