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want to be ...
第10章 杏奈と蒼汰






「っ…」


何で…


「…図星、か?」


「…何で、分かったの」


「お、図星か。だって杏奈しっかりしてるから男は自然と
逆を選ぶだろ。あと杏奈ワイルド系好きだからな」


逆を選んだつもりはなかったけど…さすが。


「あと、同じにおいがするから言えることだけど。
モテる男はな、ひと通り遊んだら安定がほしくなる。
こいつだって女に出会えたら、今までの女のことぜーんぶ
どうでもよくなって、その女しか抱けなくなるもんだよ。
距離置かれてるっつーのがまた不思議な気もするけど…
清算期間か何かじゃねぇの?社会人は忙しいしな。
まだ別れ切り出されてるとかじゃないなら
まだ待ってる価値あるかもしれねぇぞ」


蒼汰さんとお兄ちゃんと一緒にしないで…と思いつつ。


「…でも、もしかしたらもう他の女の人のところに…」


「いや。そういう男の連絡は抜かりないぞ。
もし目移りしたなら、連絡あるはずだし」


「…じゃあ、まだ待っててもいいの…?」


「俺はいいと思うけど」


「あのね…嫌なところもね、たくさんあるの。
だけど、蒼…、…その人しか考えられない。
蒼汰さんがいいの…」


じわりと目に涙が滲む。


「…そんなもんだよ、いい相手に出会えたら。
俺も優奈しかいないし、絶対離さない。
…お前も、いい男捕まえたんなら、一生離すな」


その言葉が、あたしの心に大きく響いた。


「まあとりあえずりんご食べろ、りんご」


「…、」


塩水につけることを知るはずないから、変色し始めて、皮も残ってるガタガタのりんご。


「…」


何だか…


「こらこら、泣くな杏奈」


涙が止まらない…


「そんな嫌ならやり直すからさ~」


違う。


そんなんじゃない…


皿に載った4つのりんごの2つを両手に持ち、代わる代わる口にしていく。


「っ…、おいしい…っ」


「ならよかった」


「…、お兄ちゃん…」


「ん?」


「ありがと…」


「…ふ。どういたしまして」


優しく頭を撫でてくれるお兄ちゃん。


あたしは泣きながら、りんごを食べ続けた。







そして、その日の夜…


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