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want to be ...
第10章 杏奈と蒼汰
「騙されちゃった~」
っていうのでも…ない?
でも…この香りといい声といい姿といい、1か月以上待ち続けた、蒼汰さんのものだ。
…蒼汰さんだ。
蒼汰さんだぁ…
ぶわっと涙が溢れてきて、恐る恐る訊ねる。
「ほんとに…あたしなんかでいいんですか?」
あぁ…声が震える。
だって…美咲さんを始め、蒼汰さんの周りはすごい綺麗な人で溢れてるんだよ。
綺麗な人ばかりで、キャンパス内で蒼汰さんを見つけた時、悲しいというか…すごく苦しくなったの。
周りにいた女の人達の、あまりの美人さに。
蒼汰さんが嫌そうな表情してなかったら、あたし絶対立ち直れなかったな。
綺麗な人達に囲まれてるのに蒼汰さん、全然嬉しそうじゃなくて…むしろ、ものすごく鬱陶しそうで嫌そうな表情を浮かべてて…
あの人達のことも抱いてるのかな。
セフレはあたし1人じゃないんだろうな。
もしかしたらあの人達の中の誰かと付き合ってるかもしれないな。
ずっとそう思ってて、せっかく蒼汰さんを追い掛けて同じ大学に入学したのに、すぐに後悔しちゃってた。
悪いことばかりあったわけじゃなかったけど…
「杏奈がほしい。杏奈だけが」
その優しい言葉が頭に響いて、涙が止まらなくなる。