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want to be ...
第14章 愛の結晶
「1…本?」
「1本だ…」
検査終了窓にくっきりと引かれてるライン。
判定窓には何も見えなかった。
もう一度説明書に目を通した蒼汰さんは
「使用方法間違ってたら判定正しく出ないらしいぞ?」
と言ったけど…
「説明書通りにやった筈なんですけど…」
首を傾げつつそう答えて、
「尿かける時間もきっちり測りましたし」
と呟く。
心の中でだけど、と思いつつ。
「そっか…まだ、か。
不謹慎だけど俺…ちょっと安心した」
その言葉に蒼汰さんを見上げると。
「まだまだなんだよ、俺。
とりあえず仕事一段落つけて会いに来たけどさ、
まだ杏奈を養っていけるほど大人じゃないから。
せっかく入った大学中退させんのも嫌だしさ?
あと1年ちょっとあんのに。お金は貯めてるけど…、
これはこれでいい結果だったと思ってる。
もっと頑張ろうって思えたし、次に生かせるしな?
でも明日一応、産婦人科行こっか。
もしかしたら妊娠してるかもしれないんだしさ」
優しく笑って言う蒼汰さんの言葉が嬉しくて、くすぐったい気持ちで小さく頷く。
そんな風に、考えてくれてたんだ…