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want to be ...
第17章 俺と杏奈の関係 蒼汰SIDE
だけど、理由を聞いて何も言えなくなった。
「これ…ボディクリームなんです。
小さい頃から乾燥肌で…死んだ母が、杏取り寄せて
調合して作って、くれたもので…
あたしにとって唯一の形見なんですよ。
陳腐ですけど、これ着けてたら母を近くに
感じる事が出来て嬉しくて…
すみません、気分悪くする事言っちゃって。
次から着けて来ないようにしますねっ」
明るく言ったけど寂しさを隠せてない笑顔を浮かべた杏奈に胸が締め付けられて、後悔の念に捕らわれた。
…最悪じゃねぇか俺。
「…いい。着けて来い。
…っ、その香りは、嫌いじゃない…」
杏奈の匂いなら、どんな匂いでも構わない…
だって俺は、お前自身が…
本心は言えず、ぶっきらぼうに言った俺の言葉に、嬉しそうな、泣きそうな笑顔を浮かべた杏奈に、こっちが泣きそうになってしまった。
…両親をいっぺんに亡くすなんて、どれほど辛かっただろう。
しかもまだ小学生なりたての時って言ってたよな?
俺の両親なんてまだピンピンだ。
高校生の時、反抗期で素直に甘えられなくて、
「クソババア」だの「クソジジイ」だの…
ひたすら反抗して、最悪な事を言ってた俺。