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want to be ...
第4章 転機
その日の電車は、乗る前からものすごく混んでて。
いつも座る席に座れるどころか、掴まる吊革やポールも確保出来ないくらい人がたくさん乗っていた。
だけどこれに乗らなきゃ遅刻しちゃうし…乗るしかない。
雪崩のように降りていく人の波が落ち着くと、勇気を出して乗った。
ほんとにぎゅうぎゅう詰めで、人に囲まれたまま必死で揺れに耐えた。
S駅に着き、2人の姿を捉えるだけでもしようと思ったけど、降りる人や乗ってくる人が多くてそれどころじゃなくて、2人が乗ったのか乗ってないのか分からなかった。
…普通、乗らないよね…
こんなに満員なんだもん…
あーあ…こんなぎゅうぎゅう詰めで辛いのに、毎日の癒やしだった2人も見れないなんて。
あたし最近、ついてないなぁ。
そう思いながら電車に揺られてた時だった。
スカートの中に入ってきた気持ち悪い感触。
…っ何…!?
驚いて振り返ろうとしたけど人が多くて出来なくて。
気のせいか、と思った次の瞬間。
さわさわと太股を撫でだんだん上がって来る手に気付いた。
ザラザラした大きな手が気持ち悪くて身体を捩る。
どうしよう…痴漢、だ…
どうして…今日、ほんとついてない。
頭の中が真っ白になって、血の気が引く…
ズボン越しの硬いモノがお尻に当てられたことに気付いた時は、思わず声にならない声が口から洩れた。
やだ…気持ち悪い!
叫びたいのに、声が出ない…
こういう時、本当に声って出なくなるんだ…
お願い…早く次の駅着いて。