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want to be ...
第19章 俺と杏奈の1か月 蒼汰SIDE
さっきから、かなりの早足で歩く俺達の後を懲りずについて回る女。
何なの、マジキモイ。
俺達に何を求めてんの。
…あぁほら。
大樹から恐ろしいオーラ出てんだけど!
「…撒くか?大樹」
「何を」
「ついてきてる女」
「マジ無理。追っ払って」
「やだ話したくねぇもん俺。気持ち悪い」
「俺だって無理。死んでも無理」
「俺も死んでも無理だな」
ちなみにかなりの大声で大樹と話してる。
「俺勘違い女大嫌いなんだよなぁ。
何期待してるか知んないけどマジ迷惑。
人の後ついてくるとかストーカーじゃん。
やめてくんないかな。迷惑。超迷惑」
「っはは」
うわぁ。
自分でも酷ぇなぁと思った事を言うと、鼻で笑った大樹の表情と雰囲気の恐ろしさ。
「っ、酷い…っ」
何やら後ろで声が聞こえて、俺は振り向いた。
ついてきてたであろう女が反対方向に走って行く姿を捉え、安堵のため息。
「ふー…。撒いた撒いた」
「なぁ、どこ?その居酒屋」
「…あ、やっべ。かなり過ぎてる」
「あ゙?ふざけんじゃねぇ、何でだよ」
「撒いてたからだろ」
「何を」
…もう記憶から抹消したらしい。
「…何もない」
小さく呟いて、俺達は居酒屋を目指して歩いた。