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want to be ...
第26章 Secret Story 大樹 × 杏奈
途中、背中に何かが触れた気がした。
落ちる!
頭の中に響いた自分の声。
ぎゅっと目を閉じて痛みに備えた、けど…
「…?」
あれ…?
痛く…ない。
気付くとあたしは逞しく広い胸の中にいて、背中を支えられていた。
「…っ」
もしかして…
勢いよく体を起こして…息をのんだ。
「…大樹さんっ!」
あたしの下敷きになってくれた大樹さんが安らかに目を閉じてて…
そしてそのまま、動かない。
「大樹さん、大樹さんっ!大樹さん…っ!」
どうしよう…どうしよう!?
あたしのせいで!
「起きてください…っねぇ、大樹さん!」
大声で呼んで揺さぶってるのに、反応がない。
階段の踊り場に、あたしの虚しい叫び声が響く。
「大樹…さ」
ボロボロと涙が溢れて大樹さんの顔に落ちる。
まさか…頭、打った?
そっと大樹さんの後頭部を持ち上げてみると、不自然な膨らみを感じて。
更に涙が溢れた。
そ…んな。
嘘でしょ…?
「う、うぅ…っふ、あ…っ」
大樹さんのパーカーに顔をうずめて泣いてしまう。