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want to be ...
第26章 Secret Story 大樹 × 杏奈








現在




あたしはそれ以来、とんでもない夢を時たま見るようになった。


記憶喪失になり、美咲さんの事を忘れてしまった大樹さんに熱く激しく抱かれる夢を。


その記憶があるのは夢を見た当日だけなんだけど、その夢を見るたび体が疼いて仕方なくなるし、なぜか、大樹さんに会いたくなってしまう…


ぼんやりとエレベーターから降り、美咲さんと大樹さんが住む部屋の前でカードキーを探してる大樹さんに遭遇する。


「…あ、大樹さんこんばんは」


「…おぉ。…、…えっと」


「あはは、杏奈です」


またか。


この人、ほんと美咲さん以外の女の子の名前覚えないな。


…夢では呼び捨てだったのに。


「あぁ、杏奈さん」


きゅん。


ポーカーフェイスの甘い低音ボイスで呼ばれる自分の名前にきゅんと胸が鳴る。


「あれ、どこか行くんですか?美咲さんは?」


「ケーキ買いに。美咲は中で寝てる」


…セックスしてたんだろうな。


「キスマーク見えてますよ〜」


「…ん?マジか。…まぁいいや」


…いいんだ。


「じゃあ」


小さく微笑んで歩いていった大樹さんに会釈する。


今日、またあの夢を見た。


そしてあなたを見る度、疑問に思う。


…これは一体、何なのだろうと。


夢?


ではない気がする。


だけど、現実でもない。


あたしは体も心も覚えてるけど、大樹さんは覚えてる様子はない…


あれだけあたしの名前を甘く呼んで、あたしの上で揺れてたのに。


だけど、ベトベトだったはずのあたしの体は起きた時はあの日着てた服で、セックスをした形跡もなくて。


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