この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE
…柾の事は大好きだけど、その子に立ち向かえるほどの力なんて何も持ってなかった。
…だって。
親にお金借りて大学行かせて貰うような高校生に、何が出来るっていうの?
それに、
「あなたがあたしを捨ててあの子のところに行くなら、
あなたの会社粉々にぶっ潰してやるわよ」
柾の家の会社の事を出されたら…もうあたしには、柾から離れる事しか出来なくて。
「今の俺が雫に出来る事は、雫から離れる事。
雫のこれからの幸せを一番に願う事。
俺から離れれば、お前は幸せになれるんだよ、雫」
そんな、泣きそうな顔で。
ごめんなんて言わないで。
今までありがとうなんて言わないで。
ホワイトデーを少し前に終えて、卒業式に向けて準備が進んでる、この寒い日に。
どうしてそんな事言うの…?
フラフラと歩いて、見上げた先に映ったカラオケに入った。
一緒に行ったじゃん、このアーティストのライブ。
最初は権力でチケットもぎ取ってきやがったから、あたしが怒って喧嘩になったよね。
行く時も、プライベートジェットなんて使ってさ?
どこで頼んだのか、メンバー全員のサイン色紙くれちゃったり、本人達に会わせてくれたり。
もちろんその後大喧嘩したけど。
…バチが当たったんだ。
当たり前だなんて一度も思わなかったけど、嬉しくって調子に乗っちゃった時があったから。