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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE
忘れなきゃ。
忘れないと…
涙が止まらなくて、柾がいつも歌う曲とか好きな曲をひたすら歌い続けた。
延々と歌ってて、ふと時計を見たら夜中の2時。
…2時!?
ヤバい、無意識に延長してたのかな!?
急いでお金を払ってカラオケを出て家の方面に走り出そうとした時、何かに足をとられた。
「…っわ!」
転びそうになって驚いて振り返ると、カラオケの壁を背に寄り掛かって、足を投げ出して寝てる男の人。
「…え」
てか、酒くさっ!
泥酔してるらしいその男の人の顔を覗き込むと、かなりのイケメンで。
足長いし、身長も高そう…
しばらく見とれてたけど、我に返って彼の体を揺する。
「ちょっと。…ちょっとー?お兄さん?」
「起きてください。
こんなところで寝てると風邪ひいちゃいますよ〜」
「てか、寒っ!ねぇ、死んじゃいますよ〜」
「…」
寝息をたてたまま反応しない男の人。
…な、何か、さ。
ヤバいんじゃないの、この人。
だって起きないよ?
このままこんな寒いところで寝てたら、死んじゃうよ?
「…、」
この時この人を放って帰ってたら、未来は全く違ったんだと思う。