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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE
「杏奈は…ですねぇ。自分の事後回しにして
他人の事ばっか、…ひっく。考えて…る
ものすごくいい子なんですぅ。
矢野さ…は、杏奈に愛されて幸せ者ですよぉ」
「…ん、そうだね。そう思うよ、俺も」
ぼやぼやと安定しない視界に、杏奈の体を抱き寄せてる矢野さんが映る。
…あぁ、こんな笑顔。
あたしも瑞季に向けられたい…
「…へへ。よかったねぇ、杏奈…」
愛しい人が、頭に浮かんだ時。
あたしの意識と視界はブラックアウトした。
***
「…、」
「…あ。起きたか?」
「…」
ぼんやりと見慣れた顔を見つめて、何度か瞬き。
ん?
瑞季…?
ここ、は…
…!?
「…えっ!何でっ!?…っ」
勢いよく体を起こすと頭がズキンと痛み、頭を押さえて掛け布団に突っ伏す。
「アホかお前…そんな勢いよく起き上がるな。
二日酔いだよ、大人しく寝てろ」
「…あたし何でパジャマ?」
「俺が着替えさせた」
「…」
「香坂が俺に電話くれたんだよ。
飲みすぎんなってあれだけ言ったろ…
あいつらに迷惑かけてねぇよな?」
「…絶対かけたぁ」
「バカ…」
はぁ、とあたしの頭を撫でて呟く瑞季を布団の中から控えめに睨む。
「…あ、化粧。お前がいつも使ってるシートで
やっといたから。取れてなかったら悪い」
その言葉を聞いて顔に触れると、確かに化粧は落とされてる。
しかも…