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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE





…あ、杏奈に見抜かれてたなんて。


「…よかったな、雫。
一時期友人関係で悩んでたもんな」


「…あたし、性格悪いから」


「何言ってんだ、お前が性格悪い訳ねぇだろ。
それに、性格悪いからって嫌われる訳じゃない」


「…でも初対面の人とか、緊張しちゃって。
恥ずかしいだけなのに無視されたって思われて、
その噂が周りに広がってっちゃって…」


「それは雫が話すのを待たないそいつが悪い。
…俺の前ではこんなに素直なのにな?なぁ雫」


「…っ」


「…ほらね」


「…違うっ!」


布団をすっぽり被り、熱くなった顔を隠す。


「…友達なんて、1人か2人でいい。
杏奈がいるからいいもん…」


「ひねくれてんなぁ」


「あたしには杏奈と瑞季がいればいいもん…」


「…ま、でも。俺だけが知ってればそれでいいよ。
俺の中で可愛く喘ぐ雫の事はね」


「…な。は…」


「ほんとは香坂にとられんのもやだけどね。
雫の女の顔を知ってんのは俺だーけ」


その言葉にちら、と布団から目の下までを出して瑞季を見つめる。


「っ」


なっ…何ちゅう優しい表情浮かべてんの!


「っ、ば、バーカ。瑞季のバーカ」


「はいはい」


ギシ、と体の右側が少し沈み、優しく大きな手に頭を撫でられる。


「早く元気になれよ」


…その言葉だけで元気になれそうだよ、瑞季。


ありがとう。


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