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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE
「…ごめんな、雫ちゃん。
こいつちょっとうるせぇから黙らせてくるわ」
「あ…は、はい。ごゆっくり…」
いやぁぁぁどこ行くのぉぉぉ、と言いながら半泣きで矢野さんに手を引かれて歩いて行く杏奈。
…仕方ない。
「…あ、それ。あたしの親友の分なので、
持ってかないでください」
「はい、失礼しました」
杏奈が嬉しそうにお皿に積み上げてた大量の料理。
放置されてたそれを持って行こうとしたボーイさんを止めてあたしの料理のお皿の横に置く。
「雫!おめでとぉお!写真とろーっ」
「ありがとーっ」
小学、中学、高校の時の、こんなあたしの傍にいてくれたわずかだけど大切な友達。
あたしに歩み寄って寄り添ってくれて、あたしの性格を理解して、ケンカも何度もしたけど、ちゃんと仲直りしてその度仲が深まって、素を出し合える…
あたしの幸せを自分の事のように喜んでくれる子達。
「雫ったらもー…先生と結婚するとか流石雫だわ!
やっぱあんたタダモンじゃないね!」
「ちょっとそれどういう意味〜!?
好きになった相手が先生だっただけだって!」
「やだ〜いいな〜そんな運命的な出会い
あたしもしたかった〜!」
「あんたも旦那さんと運命的な出会いしたんでしょ〜」
「え〜雫ほど感動的じゃないし〜」
「感動的じゃないからっ」
こんなくだらない事でも笑い合える。
「も〜20越えたらみーんな結婚し始めちゃって〜。
あたしも彼氏に話ふっかけてみなきゃ〜」
「あたし両家の挨拶は済んでるんだ〜」
「えぇっじゃあ次の結婚は夏帆っ!?」
「かも〜。お先〜」
まだ独身の友達の方にひらひらと手を振る夏帆も。
そんな夏帆に茶々入れる友達も。
みーんな、笑顔だ。