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want to be ...
第29章 素直な気持ち 雫SIDE
***
「ん〜…っはぁ!っあー肩凝った…」
「揉んであげようか?」
「頼む…」
結婚式を終え、ようやくホテルに着いたあたし達。
…まだ目が痛いや。
大きく伸びをした後上着を脱ぎ捨て、ベッドに俯せで沈んだ瑞季の体に跨り、肩を優しく揉む。
「あーもうちょっと右…。…あぁそうそこ…
もうちょっと力強くしていいよ…」
「はいはい」
「っあー、すげぇいい…」
はぁ…と息を吐く瑞季。
しばらく揉んでて、ふと、大きな窓に映る自分達の姿を見つめた。
瑞季に跨る、あたし。
…あ、やだ。
ヤらしい妄想しちゃった。
ていうかこれ…せっかくの新婚初夜なのにムードも何もないけど、夫婦って感じだよね、凄く。
…夫婦、かぁ。
「…ねぇねぇ、瑞季」
「んー…?」
「あたし、津田雫になったね」
そう言うと、瑞季があたしの方に少しだけ顔を向け、ニッと微笑んだ。
「何か文句あんの?奥さん」
その言葉に揉んでた手が止まる。
ありがと、と言い、体を仰向けにしてあたしを跨らせ、優しく微笑む瑞季。
「津田雫。すげーいい名前だと思うけど。
これから一生変えさせてやんないよ?」
「…っ、ふ…っ」
「何ー、何で泣くのー…。そんなに嬉しい?」
こくこくと頷くと、後頭部を抱き寄せられて目元に優しくキスされる。
「泣くな、奥さん」
「グスッ…何…ー?
これからあたし、奥さんって呼ばれるのー…?」
「んーん?違うけど。
雫の事奥さんって呼べんのは俺だけじゃん?」
「えー…」
「…あ、違うか。先生の奥さん、とか
言われるようになるからなー…」
奥さん
瑞季が紡ぐその声の響きが、あたしの涙腺を更に緩ませる。