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want to be ...
第2章 出会い
「よしよし」
彼に抱き着きジャケットに顔を埋めるあたしの耳元で囁き、頭を撫でられる。
…凄く、優しい手つき…
「っ何だよ…俺達はただ助けようとしただけで…」
「…へぇ?」
面倒くさそうに呟き髪を掻き上げた彼の顔を初めて見て、目を見開いた。
えっ…
凄く綺麗な人…
でも、その人の容姿より気になったところがあった。
…この人、泣いてたんだ。
ホテル特有のネオンの反射で、彼の頬に涙が通った痕が見えた。
きっと…あたしと同じ、何か辛い事があったんだ。
…この人を1人にしちゃいけない気がする。
そう思って顔を上げ、彼の腕を掴むと、すぐ近くのラブホテルに入った。
「はっ…!?何…っ」
驚いてる彼の言葉を無視して廊下を懸命に走る。
「っ…、はぁ…」
適当に選んで入った部屋の扉を閉めて息を吐くと
「何やってんの?」
とあたしの手を振り払った彼に冷たく睨まれる。
「あの、あり…っひゃ!」
「こんなところに男連れ込んで…
どうなるか分かってんの?アンタ…」
あたしの腕を掴んでサテン調のベッドに押し倒した彼の目は、赤かった。
やっぱり…泣いてたんだ。
そしてその瞳は…あたしを映していない。