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第16章 熱情

里奈ちゃんの――最近、紫乃さんの様子が少しおかしいんです。
なんだか――誰かの身代わりみたい。
人って好み…そんな急には変わらないと思うのに。

――なんか紫乃さんらしくないっていうか。


その言葉が少し心に引っ掛かっていたのもある。




片桐さんに紫乃に近づくなって牽制されることも、
最近の片桐さんへの不信の理由の一つだ。


――この人‥何焦ってんだ？


片桐さんは好きな女を束縛するタイプなのか？
俺のこと――信用できないのかよ。



紫乃は折角羽根を広げ始めたばかりなのに。
――俺ならありのままの紫乃を…。


こんな気持ちが片桐さんに見透かされているのかも知れない。


状況に流されやすくて…色々我慢してしまう紫乃。
好きな男にもがれる羽根なら――
紫乃にとっては幸せかもしれない。


俺は自分の気持ちに言い訳をする。

紫乃が…好きだ。
でも、それは許されないことだから。



だから―――

紫乃が男と二人でいる。
その状況がまず信じられなかった。