パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第18章 突風

「じゃあね、紫乃ちゃん」


気が付けば智樹兄さんの家の前。
私達はそこで別れた。


＊－＊－＊－＊


私に良く似た女の人…。
少しだけ気になった。
世の中には三人似た人がいるらしいから。


片桐さんにそんな…過去があったんだ。
智樹兄さんの言う辛い別れってなんだろう――…。


――――その彼女とはどんな別れをしたんだろう。


私にはいつも優しくて。

少しだけ束縛する愛情をくれる片桐さんの
私の知らない過去。


昔の彼女のことなんて―――知らなくてもイイ。
そう思う。
だけど。

―――辛い別れ

それがなんだか心に引っ掛かる。


―――幸せにしてやって


その言葉が重く心にのし掛かり、
私の心に影を落とす。


「………はぁ」


ため息がでる。


本当に最近嫌になっちゃう。


片桐さんと、ちゃんと向き合わなきゃ。
こんないい加減な気持ちのままじゃ片桐さんを幸せに出来ない。
幸せ――どころか傷付けてしまいそうで。