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アンバランスなsweet
第19章 紅い花
「いらっしゃい。紫乃
窓から車が駐車したのが見えたのに、
紫乃が一向にたどり着かないから……。
もしかして、ドアの前にいる?…なんて思って。

ドアを開けたら、紫乃が立ってた」


「……うん。なんだか緊張しちゃって」


初めてお邪魔する訳だし。
彼氏の住むお家だし。
緊張するのは―――仕方ないと思う。


「……良かった。もしかしたら逃げられたかな、なんて思ったから」

「……えっ」


その片桐さんの呟きは私の耳にはハッキリとは届かなくて。
思わず聞き返す。


「なんでもない。そこら辺に適当に座って。
それより……手土産なんて気を使わせたね」


私が渡したそのスイーツを片桐さんは冷蔵庫に入れる為にキッキンへ消えて。


低めのソファー…そこに座る。


モノトーンで纏められたシックな部屋。

几帳面な片桐さんらしく、
全てがキチンと片付けられていた。


―――真くんだったらきっともっと乱雑だよね


不意にそんな事を思う。


男のひとの部屋。
姉妹しかいない私にはその全てが新鮮だった。



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