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アンバランスなsweet
第19章 紅い花
緊張しまくる私とは裏腹に、
片桐さんはそんな素振り―――私を抱く……そんな
素振りを見せる気配は無くて。


いつもみたいに、私から診療所の話を聞いたり、
大家さんの娘さんに男の子が生まれた話や、映画の話をしたりとたわいのない話をたくさんして。


――――なんだ……考え過ぎだったかも。


そんな風に思って。
緊張も解れてきた、そんな時だった。


辺りに……夕闇が忍び混む気配がして。

そろそろ部屋の灯りが欲しい……

そんな夜の気配が満ちてくる少し前の
不安定な時間。



「紫乃は……まこと…、いや、真のことが好きなの?」



片桐さんからのその質問は、

ソファーに寄りかかるようにして。

二人で並んで座って。
お喋りしていたその話題が……ふっと途切れた、その僅かな時間。

その隙を縫うようにして……不意に聞かれた。


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