この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第19章 紅い花

夕闇から宵闇へ。
いつの間にか部屋は暗くなっていて。
片桐さんのその瞳が映す感情は解らなかったけれど。
私の眼からは涙が溢れて。
「……紫乃には少し刺激が強すぎた?
今日はここで止めておく。
―――でも近いうちに、全てを貰うよ」
そう言って。
片桐さんは、そんな私の頭をよしよしと撫でる。
―――全てを貰うよ。
全てを捧げて。片桐さんで染めて貰いたい。
そんな想いで来たこの部屋だったけれど――――……。
片桐さんに触れられても……
真くんの時みたいにドキドキしなくて。
それどころか――嫌だと思う自分がいた。
真くんのあの温もりを知らなければ……。
あの眼差しを知らなければ――…。
帰宅の車の中。
涙が止まらなかった。
―――――――――真くんに会いたい
そう思った。

