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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

ボーリングの後、海に向かうその車の中。
真くんへの気持ちをはっきり自覚した私は覚悟ができた筈なのに、なんだかすっきり気持ちにはなれずにいて。
――片桐さんにいつその話をしたらいいんだろう…。
こんな私を好きになってくれて。
たくさん嬉しい気持ちを片桐さんから与えて貰った事実は変わらなくて。
たくさんの楽しい二人の時間は確かにかけがえの無いもので。
――――でも。
恋とは違うその気持ち。
片桐さんに対しての私の愛情は、私を好いてくれる片桐さんに対して失礼なものだ、と思う。
その愛情は彼に対して同じだけ真剣に返してくれる女性にこそ値するものに違いないのだ。
私みたいに他の男性に心が向いている女には勿体無いと思うんだ。
そして、片桐さんにも多分忘れられないヒトがいるのだ。
―――亜子
その名を読んだ片桐さんの声が私の耳に残っていた。

