この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

「片桐さん、紫乃さんは帰るって言ってませんよ?
そして、約束は約束です。
ボーリングの時、片桐さんと紫乃さんの時間を私に少しだけ分けて欲しいっていう願いに、片桐さんは頷きましたよね?」
私に内緒だった景品の内容が里奈ちゃんの口から急に明かされて。その内容にびっくりする。
でも、最近片桐さんと休みの度に一緒だったことは確かだし、里奈ちゃんのことを避けていた自分がいて、一緒に遊びに行けていないのは本当で。
里奈ちゃんに、そんな提案をさせちゃうぐらい…私は片桐さんにベッタリ依存していたそのことに、私は気がついてしまった――。
――― 私が、帰りたくないって呟いたから、今、里奈ちゃんはそんなことを言ったんだ…。
「でも、里奈ちゃん、君はその時間をまことにあげちゃうんだろ?だったら却下だね。」
―――真くんにあげちゃう?
里奈ちゃんが真くんにその時間をあげちゃうってことは…真くんが私に何か用があるってこと、なのかな?
黒のRV車が駐車場に入って来て。その車が、私達の側に停車する。
運転席側の窓が開いて、片桐さんと良く似た男性が顔を出した。
「豊~、早く乗れよ。あっ、彼女さんもどーぞ」
「あっ、兄貴悪いな。おい、紫乃行くぞ」
「…うん」
ごめんね、真くん、里奈ちゃん。
でも、私、片桐さんに依存しないって。
片桐さんとキチンと向き合うって決めたから。
―――また、今度。
心にそう誓い、片桐さんの後を追った。

