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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

「真くん、里奈ちゃん、今日は楽しかった!里奈ちゃん、今度二人でお買いもの行こうね」
車に乗り込み、その窓から二人に挨拶を告げた時、急に真くんが叫んだ。
「っ紫乃!お前…っ身代わりで良いのか?俺はお前が―――」
―――好きだ
片桐さんにより閉められたその車の窓。私の耳には真くんの声は全部は聞こえないまま車は走りだす。
―――身代わりって何?
いったい、真くんが何を伝えたかったのか。
真くんのその言葉が、妙に心に引っ掛かり、嫌な不安が胸にひろがる。
遠ざかる海を背にして。
私の中で、片桐さんに恋の終わりを告げるその決心が、動きだしていた。

