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アンバランスなsweet
第23章 対峙する心

「紫乃さん……行っちゃいましたね」
「あぁ」
里奈ちゃんと二人駐車場に取り残された俺は途方に暮れていた。
――――紫乃……。お前、身代わりで良いのか?
良いわけ、無いだろ……‼
別れ際の俺の叫びが、紫乃に届いているのか、居ないのか解らないまま。
好きだと叫んだ俺の告白は、潮風に拐われ、空気中に霧散して、波の音にかき消されてしまった。
なんでアイツは片桐さんと一緒に―――。
なぜ。
紫乃は片桐さんの手を取ってしまうのだろう。
無意識だろうが、片桐さんと一緒の時、辛そうな顔、してるんだぜ。お前。
今日のボーリングの時だって。
片桐さんに触れられて緊張したその顔が―――。
恥ずかしいと言うよりは……。
ビクッとしたその肩。
―――微かに怯えていた?
そんな気配。気のせいかもしれないけれど。
頑張って微笑んだ顔は、作り笑顔。
そのよそ行きな笑顔は。
少し照れて。ぎゅっと目をつむり、はにかむ様に笑う。紫乃らしい笑顔じゃ無かった。

