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アンバランスなsweet
第23章 対峙する心

亜子も車に酔いやすいタイプだったんだよって。
片桐さんはそう言って…。
あの時の紫乃は辛そうだったからなぁなんて微笑んだ。
――だから、まことと里奈ちゃんを付き合わせたいという熊さんの計画はチャンスだと思ったんだ。
片桐さんのそんな言葉。
あの時は――私も揺れていた。
真くんの事が気になりはじめて。でも里奈ちゃんには敵わないって。そんな風に思って――。
「紫乃はさ、いつも俺に好かれようと必死だったろ。
君は…いつも自分を卑下するところがあるから。
俺の為に一生懸命な、そんな紫乃が可愛く見えた。
亜子も健気な奴だったから。
紫乃のその姿は、ますます亜子と重なったんだ。
でも。
さっき、紫乃が写真を見つけた時に。
俺に対して嫌だと口にした時に。
俺の頬を思いきり叩いた時に。
一瞬、紫乃が凄く悲しそうな亜子に見えて。
亜子が、紫乃は自分じゃないと、そう言ったような気がした。
同時に紫乃が俺から離れようとしていることも。」

