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アンバランスなsweet
第25章 繋がる気持ち

―――紫乃、お前、今なんて…
紫乃の口から零れたその告白。
俺の気持ちなどお構い無しに、一途に突っ走る紫乃のその言葉に、
紫乃をどう説得しようかと考えていた俺の思考は停止する。
狭い車の中―――その刻が止まった。
“片桐さんと別れて来た”
紫乃のその言葉。
“好きだ”という告白に驚かされた。
―――紫乃は片桐さんを選んだんじゃ無いのか?
そう思い込んでいた俺に対し、紫乃からのその言葉は、俺が想像していた言葉とは違っていた。
何かを決意した紫乃からの言葉。
泡立つ歓喜の波に包まれる心とは別に、
頭の中をぐるぐると回り続けたその言葉の意味を、理解するのに数秒―――。
紫乃の口から零れたその告白。
紫乃から感じていた好意らしき気持ちは、俺の勘違いだったんだろうか。
俺の気持ちなどお構い無しに、一途に突っ走るその言葉。
亜子さんの身代わりにされていると知ってもなお、紫乃は片桐さんの手を取るのか――そう思い、臍を噛む様な想いに捕らわれていた俺の予想の遥か上を、紫乃は軽く飛び越えていった。

