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BLACK WOLF
第7章 獣のような目で

必死になりながら私が探してたのは、鍵。
この家を出るための鍵だ。
普通ならキーケースにつけて、鞄やポケットにしまってるはず。
もし、違う場所に保管してたらアウトだけど、それでも私は賭けた。
もし、今黒埼に見つかったら何をされるかわからない。
見つからなくても物色した形跡のある鞄やスーツを見れば、誰がやったかなんて明らかだ。
だから、これは本当に賭けだ。
お願い…っ。
黒埼が帰って来る前に、黒埼に気づかれる前に…っ!
願うような気持ちで必死に探した。
そして━━━━━━━
チャリッ…
スーツの内ポケットにある硬いモノ。
家の鍵なんてどれも似たような作りだからすぐにわかった。
百合の刻印がされたキーホルダーと共に見つけた鍵。
時間的にこれ以上探せる時間なんかない。
その鍵を持って玄関へと急いだ。
心の中で何度も願った。
お願い、開いて…と。
恐る恐る鍵を鍵穴に差し込むと、鍵はすんなりと入った。
次は…、ゆっくり、慎重に鍵を回す。
お願い、開いてっ!
この鍵でありますようにっ!
私を外に逃がして…
ここから出して…
カチャン…
私は、賭けに勝った。

