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BLACK WOLF
第7章 獣のような目で
何度も転んだせいで足のあちこちに擦り傷まで出来てる。

転んだ拍子に地面に付いた手も恐らく傷ついてる。

小さい頃は実家の野山で走り回って遊んで、その度に転んで擦り傷だらけになってたっけ。

川にはまって今みたいにびしょ濡れになったりもした。


でも、今は違う。

ここから逃げたい一心だけで走ってる。

縺れる足を奮い起たせて、切れる息を整えて必死に走った。



だんだん、見覚えのあるお店や建物が目につき始めた。



確か、ここは…。

知ってる…。

私、ここ知ってる…、覚えてる…。





「ハァ…ハァ…ハァ…」





吐く息は真っ白で、心臓が破裂しそうなくらいドキドキ言ってる。

意識も朦朧としてる。

長時間、冷たい雨に撃たれながら走り続けてるんだ、体力の消耗も激しい。

満身創痍。

でも、ボロボロになりながらも逃げた。

一か八かの賭けに勝った私はここで掴まる訳には行かないんだ。


















ピンポーンッ…

ピンポンピンポンピンポンッッ…ッ…!!










静かなマンションに鳴り響くチャイムの音。













ドンドンドンドンッ!!

ドンドンドンドンッ!!










けたたましくドアをノックする音。








この部屋の住人を起こすには充分過ぎる騒音。







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