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第8章 醒めない悪夢

「お前…、大丈夫か…？何も覚えてねぇの…？」

ハルちゃんの部屋の天井を見上げながら記憶を辿る。




私は…、黒埼の家から逃げて来たんだ。

黒埼から鍵を奪って、そのまま何も持たずに飛び出して来たんだ。

それで、とにかく黒埼から逃げたい一心で雨の中を必死に走りながら。

それで、見覚えのある街まで降りてきて、それから…っ。



そうだ…。

見覚えのあるカフェが見えた瞬間

「ハルちゃんと来たことのあるカフェだ。ここはハルちゃんの家の近くだ」ってわかって…、そこからの記憶は曖昧でハッキリ思い出せないけど。

無意識のうちにハルちゃんのマンションに来ちゃったんだ…っ。



ガバッと体を起こそうとすると


ズキッ！━━━「あ、痛…っ」

体のあちこちに激痛を感じた。



「馬鹿！急に起き上がるな！」

酷い頭痛…。

思わず頭を抑えると、額に何かを感じた。

額だけじゃなく、顔にも…。

「すっげぇ熱だったから一応冷えピタと、顔も傷だらけだったから消毒して絆創膏と…」

…確かにさっきから意識が朦朧としてる。

冷たい雨の中を必死に走ったせいで一気に風邪をひいたみたいで、顔には転んだ拍子に作った擦り傷まである。



しかも━━━━━━



「あ、服…」

「い、いや…だって、仕方ねぇだろ…。びしょ濡れだったし、その…足とか手とかも傷だらけで…手当てしなきゃ…」