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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢
「熱いぞ?フーフーしてやろうか?」

「子供じゃないんだから…」

「ちゃんと食えよ。何かお前…やつれたっぽいし…」



ハルちゃんに言えるわけない。

やつれた原因は恐らく黒埼だ。

あの家にいる間はまともにご飯なんか食べてないし、いつも張り詰めた気持ちでいたから。

でも、今は大丈夫そう。

あの雰囲気と高級なお料理が苦手だっただけ。

ハルちゃんにまた会えて、嬉しくて、ホッとして食欲も少し戻ったみたい。




「ここんとこ、忙しかったからかな…」

言えないよ…。

ハルちゃんにだけは何があったかなんて言えない…っ。

知られたくない…っ。

黒埼との事を思い出しただけで体が震える。

もう、思い出したくもない、あんな男のことなんて…っ!



「まぁ、何があったかなんて無理には聞かねぇけどさ」



何も聞かずに、ただいつもこーやって私のそばにいてくれる。

お母さんのお葬式の時もそうだった。

いつもいつも、然り気無い優しさで私を包み込んでくれる人。





ハルちゃんが作ってくれた卵粥も何とか食べられた。

風邪薬を貰い、とりあえず服用して、私はまた横になった。

とは言っても風邪に変わりはないし、怪我もまだ痛い。



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