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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢
「俺の卵粥、どうだった?」

「美味しかった…」

「ならよかった」

横になり動けない私の変わりに食器を片付けてくれたり、額の熱冷ましシートを交換してくれたり

まるでお母さんみたい。

そんなハルちゃんの優しさを感じながら、感謝の気持ちと罪悪感でいっぱいだった。



ハルちゃんは何も聞かない。

私に何があったかを━━━━━。


この豪雨の中、傘も座さず薄着のまま裸足で、全身傷だらけになった訳を。

きっと、それがハルちゃんの優しさなんだ。

台所で後片付けをするハルちゃんの背中。

大きくて、がっしりとした背中。



何も聞かないでいてくれてありがとう。

こんな真夜中にボロボロになって逃げ込んだ私を拒絶しないで受け入れてくれて、看病までしてくれてありがとう。

心の中で、大きなハルちゃんの背中に何度も何度もお礼を言った。



「あのさ、舞…」

「何?」






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