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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢

「━━━━ったく。わっかりやすい女だなお前はっ!」
「え?」
「風邪が治るまでとか、怪我が治るまでとか、そんな遠慮なんかいらねぇから、好きなだけここにいろよっ!」
「えっ…あ、あの…わ、私なら大丈夫だから…」
必死で作った笑顔も、ハルちゃんの前では通用しなかった。
私とハルちゃんは10年以上の付き合いだ。
ハルちゃんは私の本音なんてすぐに見破ってしまう。
でも、さすがにここに止まるわけには行かない。
行くアテはないが、ハルちゃんに迷惑ばかりかけられない。
「そんな図々しいこと…出来ないよ…」
「は?こんな時間に押し掛けといて今更何言ってんの?」
確かに、その通りだけど…。
それでも、ハハッと笑いながらまた私の頭をグリグリと撫でてくれた。
完全に子供扱いされてる。
「でも…っ」
「何迷ってんの?部屋は余ってるし、鍵もついてるからプライバシーは守れるし、同居もOKらしいし、お前1人ぐらい俺の稼ぎで充分養えるし」
養えるって、何よそれ…。
今は怪我してるし風邪までひいてるから動けないだけで、ちゃんと完治すれば私だって働ける。
「ハルちゃんの彼女に悪いから…」
「前も行ったじゃん。彼女なんかいねぇって。俺は今お前のお守りで手いっぱい」
やっぱり子供扱い。
ハルちゃん、本当に彼女いないんだ。
こんなに優しくて頼りがいもあるんだからモテそうなのに。

