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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢
「━━━あ、ごめん。風邪ひいてるのに…」

ハッと気づいたように私の体を解放し、そのまま私の体を支えながらベッドに寝かせてくれた。

これじゃ、出て行けないじゃない。

いきなり体温が上昇したせいで熱くなり効力を失った熱冷ましシートを剥がし新しい熱冷ましシートを額に張り直してくれた。

額に触れる冷たいシート。

季節はまだ冬なのに、この冷たさが気持ちよかった。


「とにかく、今日はここで寝ろ」

「ハルちゃんは…?どこで寝るの?」

「俺は床に布団でも敷いて寝るから、お前はちゃんとそこで寝ろよ」


…ここ、ハルちゃんの部屋なのに、私がベッド取っちゃったんだ。

ハルちゃんは明日も仕事なのに。

「ごめんね…、いきなり来て…ベッド取っちゃって…」

「気にするな。俺は嬉しいよ。俺のことを頼ってくれたんだから━━━━」

そう言いながらハルちゃんはベッドのすぐ真下に布団を引くべくスペースを作り出した。

机をよけて、散乱している服を片付けて。

「この部屋お前に貸してやりてぇけど、さすがに今日は心配だからそばにいるよ」

「心配しなくても、薬と熱冷ましシートのお陰で楽になったよ」

「そうじゃなくて、また消えられたら嫌だから…」



こちらを振り向かず黙々と床を片付けるハルちゃんだけど、一瞬見えたハルちゃんの耳、私より真っ赤になってた。

熱冷ましシートが頭を冷やしてくれて少し意識が戻った。




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