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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢
どうしよう、今になって少し恥ずかしい。

私、ついさっきハルちゃんの腕の中にいたんだ。

幼馴染みだと思ってたあのハルちゃんの腕の中に…。


別の部屋から来客用の布団一式を引っ張りだし床に広げて、どんどん自分の寝床を作っていく。

私はその様子をぼんやり見つめてた。


「よし、と。あと、念のために加湿器━━━━」


加湿器を用意したり、私のそばにスポーツ飲料を用意してくれたり

私の事より自分の心配をすればいいのに。

私のせいで睡眠不足のまま出勤しなきゃいけないのに…、いくら加湿器があるとは言え風邪が移るかも知れないのに、こんな時にまで私の心配ばっかりして。


「俺はここで寝るから何かあったら声かけろよ」

「せめて、マスクでも付けた方が…」

「言っただろ?貰ってやるって。風邪は人に移した方が治りが早いらしいし」


何でそんなに笑顔でいられるの?

その変わりハルちゃんが辛くなるのに。

何で?何でこんなに優しくしてくれるの…?


「つーか、お前…。それ、わざと…?」

「な、何が…?」

「顔、真っ赤にして…目も潤んでるし、息も荒いし…、襲うぞ?」


床に寝転びながら私を見上げてそう言った。

驚きのあまりさっきまでボーッとしてた意識がいきなり覚醒した。

「違っ…か、風邪だから…」

「わかってるよっ!冗談に決まってるだろ?さすがに病人に手は出さねぇよ、あっはは!」


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