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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢


びっくりした…。

ハルちゃんがそんな事言うなんて…っ。

心臓の鼓動が一気に早くなった。


「ほれ、電気消すぞ?」

「うん」


電気の紐を引っ張りパチンッと言う音と共に部屋は真っ暗に。

さっきハルちゃんがあんな事言うから変に身構えちゃってる。

期待してるわけじゃないけれど、ハルちゃんらしくない発言のせいで胸がドキドキして眠れなくなりそう。


「ハルちゃん…」

「んー?」

「今日は…、本当にありがとう…」

「もういいって」



真っ暗な静寂の中、時計の秒針の音と加湿器の音と、私の心臓の音まで聞こえそうだった。



ハルちゃんは私の事をそんなふうに想ってくれてたんだ。

ハルちゃんは優しいし、お互いのことなら何でもわかるし、昔から家族ぐるみの付き合いだし、ハルちゃんみたいな人が恋人だったらお母さんも喜んでくれたかな?







"お前は俺のもんだ"━━━━━





真っ暗になった部屋の中で、頭に響くのは黒埼の声。

何であんなやつの事を思い出さなきゃなんないのよ…。





ハルちゃんには言えない…。

言えそうにもない。

借金のカタに買われた、だなんて絶対に。





私を好きだと言ってくれたハルちゃんのベッドの上で、ハルちゃんの傍らで黒埼の事を思い出してる自分が情けなかった。

…許せなかった。

私が今1番考えなきゃいけないのはハルちゃんの事なのに。

ハルちゃんの気持ちなのに…。








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