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BLACK WOLF
第8章 醒めない悪夢
身嗜みを整えると鞄を持ち玄関へと向かうハルちゃん。

その後ろを、ハルちゃんのジャージを着たまま着いていく。

迷惑かけ通しだし、せめて見送りぐらいはと思ったのだ。

「見送りなんかいいから寝てろって。ぶり返したらどうすんだよ」

「でも…」

頭は痛いけど、熱は下がってる見たいだし、人様の家でずっと眠ってるのも悪いし。

そんな私を横目に靴べらを使い器用に革靴を履くと、俯く私の額に━━━━━



チュ…━━━━━━「っ!!」



微かに触れて…、すぐ離れてしまった唇の感触。

突然のことに驚き顔を上げるとニヤッと笑い、してやったり顔を浮かべている。


「ちょ、ハルちゃ…っ」

「何か…夫婦みたいじゃね?」



………っ!

照れ笑いを浮かべるハルちゃんだけど、確かにそれっぽい。

身支度を整えた旦那様を見送る、よくある夫婦の朝の光景みたいだけど。

ハルちゃんと夫婦なんて…。

「あ、あの…その…」

「んな顔すんなって!別に返事を急ぐつもりはねぇから」

「でも…」


それじゃ悪い気がした。

ハルちゃんの気持ちは嬉しかった。

それは嘘じゃない。


でも、ずっと幼馴染みだと思ってたハルちゃんが見せた男の一面に戸惑いを隠せないでいる。

それに、いきなりハルちゃんをそんな目で見ろって言われても…。


「お前がまたいなくなる方が心配だし、俺の目の届く所にいて欲しいって言うかさ…」

「ハ、ハルちゃん…」




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