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BLACK WOLF
第9章 罪と罰



言えない。

言えるわけないし、ハルちゃんには知られたくない。


あの人と私の関係も、私が何をされたのかも。



あの人の事を思い出しただけで心臓が割れるように痛い。

頭が熱くなりそうな感じ。



「さ、さぁ…わかんない。あれから1度も会ってないから…。お、お母さんの知り合いだったのかな…」



知られないように、自然に振る舞おうとすればするほど体が震える。

いや、あの人にされたことを思い出すだけで…。


「あ、そうなの?おばさんの恋人かなーなんて思ってたんだけど、んなわけねぇか!ははっ」

「……っ。もぅ、ハルちゃんったら!じ、冗談ばっかり~」


もしハルちゃんに知られたらと思うと怖い。


お願い、このまま…

何も気づかないままでいて。

何も起こらずに平穏無事に過ごさせて…。









夕飯を終え、私は食べ終えた食器を流し台で洗っていた。

ハルちゃんはテレビを見ながら何やら楽しげにケラケラ笑っている。

「ハルちゃん、お風呂沸いてるから入りなよ~」

「あーい」



ったく、ハルちゃんってば子供みたい。

私が声をかけなきゃご飯もお風呂もマイペースに済ましちゃうんだから。

母性本能をくすぐるタイプってやつかな?

そんな思い出し笑いを浮かべクスクス笑っていると


「あのさ、舞」

「んー?」


すぐ後ろでハルちゃんの声が聞こえた。

どうやら私の真後ろに立ってるみたいだ。




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