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BLACK WOLF
第9章 罪と罰
「舞は、男心を知らなさ過ぎんだよ」

「え…?」

「舞が使った後の風呂とか…、舞の香りが充満して、それだけでもいっぱいいっぱいだってーのに…」

「私の、香り…?」

私の香りって、何の事だろ?

私には香水を付ける趣味なんてないのに、一体何の香りがしてるの?




「ここに来たときからずっと香ってんじゃん、薔薇の香り」









あ……

薔薇の香り…。

その台詞を聞いただけで、体が強張って恐怖を感じる。



だって、その香りは…

薔薇の香りは私の香りじゃない。

薔薇は…、あの男の香りだ。

黒埼さんの香りだ。








1週間も経ってるのに…

あの人のそばにいたのは2、3日くらいだったのに…

あの人の香りは既に私を侵食していってる。

体を奪われて、マーキングのように体中にあの人の香りが染み付いてる。







「舞…」

さっきとは違う動悸が私を襲ってる。

そんな私の恐怖を感じた私は力が抜けその場に座り込むように倒れてしまったが

ハルちゃんの腕に誘導され、キッチンの床に押し倒される形になってしまった。




このまま…

このままハルちゃんに抱かれてしまえば、薔薇の香りは消えてくれるのかな?

ハルちゃんが使ってるトニックシャンプーの香り。

ミントの香りで全部を消し去ってしまいたい。




覚悟を決めたように目をギュッと閉じた。




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