この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BLACK WOLF
第11章 満月の夜の狼
何とか苺一粒は食べられた。
食べたというより、ムリヤリ胃に流し込んだに近い。
果汁が顎や服やシーツ、黒埼さんの手にまで付着してしまったけど。
「あーぁ、ベトベトだな。綺麗にしろ」
果汁の着いた手を私の唇に這わせた。
果汁を舐め取れということだ。
こんなやつの言うことなんか聞きたくないけど、この男の出す条件を飲まないとハルちゃんが…
そう思うと、自然とチロリと震える舌で果汁を舐め取って行った。
「ん…っ、ん…」
熟れた苺の真っ赤な果汁。
まるで、血を舐め取る雌狼。
真っ暗な部屋の中で、この瞳に見つめられると
まるで催眠術にかかったみたいに恐怖で逆らえなくなってしまう。
「…もぅいい。幼馴染みの為に健気だな」
パッと手を退けた。
私の心の中なんて黒埼さんはお見通しだ。
ご主人様を慈しみながらの行為じゃなく、ただ幼馴染みを助けたいだけの愚行。
黒埼さんからしたら、自分になつかないペットを飼ってるようなものだ。
「苺は置いておくから食え。俺は急ぎの仕事があるんで」
ベッドから立ち上がりテーブルに苺のお皿を置くとそのまま部屋から出て行こうとする黒埼さん。
そんな黒埼さんの背中に私は…、聞いてはならない、でも聞いておきたい質問をぶつけた。
「ハルちゃんは?何もしないでくれてますか?」
「…心配するな。約束は守ってる」
「そう、ですか…」
よかった。
ハルちゃんは無事なんだ。
その台詞に私は胸を撫で下ろした。
私の方を見ることなく背中でそう答えた黒埼さんはそのまま部屋から出て行った。
本当はこの質問、口にするまで恐くて仕方なかったけど、今日は何もされなかった。
食べたというより、ムリヤリ胃に流し込んだに近い。
果汁が顎や服やシーツ、黒埼さんの手にまで付着してしまったけど。
「あーぁ、ベトベトだな。綺麗にしろ」
果汁の着いた手を私の唇に這わせた。
果汁を舐め取れということだ。
こんなやつの言うことなんか聞きたくないけど、この男の出す条件を飲まないとハルちゃんが…
そう思うと、自然とチロリと震える舌で果汁を舐め取って行った。
「ん…っ、ん…」
熟れた苺の真っ赤な果汁。
まるで、血を舐め取る雌狼。
真っ暗な部屋の中で、この瞳に見つめられると
まるで催眠術にかかったみたいに恐怖で逆らえなくなってしまう。
「…もぅいい。幼馴染みの為に健気だな」
パッと手を退けた。
私の心の中なんて黒埼さんはお見通しだ。
ご主人様を慈しみながらの行為じゃなく、ただ幼馴染みを助けたいだけの愚行。
黒埼さんからしたら、自分になつかないペットを飼ってるようなものだ。
「苺は置いておくから食え。俺は急ぎの仕事があるんで」
ベッドから立ち上がりテーブルに苺のお皿を置くとそのまま部屋から出て行こうとする黒埼さん。
そんな黒埼さんの背中に私は…、聞いてはならない、でも聞いておきたい質問をぶつけた。
「ハルちゃんは?何もしないでくれてますか?」
「…心配するな。約束は守ってる」
「そう、ですか…」
よかった。
ハルちゃんは無事なんだ。
その台詞に私は胸を撫で下ろした。
私の方を見ることなく背中でそう答えた黒埼さんはそのまま部屋から出て行った。
本当はこの質問、口にするまで恐くて仕方なかったけど、今日は何もされなかった。