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BLACK WOLF
第11章 満月の夜の狼
真っ暗な部屋、外ももう真っ暗だが、窓から見えるのは綺麗な夜空。
山奥は、余計な灯りが一切ないから、普段は見えないような小さな星の光までよく見える。
まるで、今にも降ってきそうな満天の星空。
不思議。
真っ暗な闇の中、星空を見てると心が落ち着く。
ハルちゃん、ごめんね。
自分の意思じゃないとは言え、またハルちゃんに黙ってハルちゃんの前から消えちゃった。
今頃、ハルちゃん、心配してるかな?
それとも、何度も何度も居なくなって、心配かけるような女のことなんてもう忘れちゃったかな?
ハルちゃんだけは幸せになって欲しかった。
私の大切な幼馴染みだから。
━━━━━━━ドンッ、「くっそ…っ!仕事なんか知るかよ…」
もうハルちゃんに会えない。
黒埼さんの言った台詞が聞き間違えじゃなく本当なら、私はそのうち誰かに譲られる。
逆らうことすら許されない私はまた違う誰かのものになる。
そうしたら、もうハルちゃんには…。
「うっ、ひっく、…っ」
ハルちゃん…。
ハルちゃん…。
ハルちゃんに会いたい。