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BLACK WOLF
第2章 甘い誘拐
でも、こんな凄いお店を経営してるお友達がいるなんて、やっぱりこの黒埼って人、物凄いお金持ちなのかも。

今着てるスーツだって高そうだし。

…それに比べて私はダサいワンピースにボサボサの髪、正直場違いにも程がある。

疎らに座ってるお客さんをチラリと横目で見てみると、何処と無くお上品そうなマダムばっかり。

こんなところに連れて来られるとわかってたらもうちょっとお洒落したのに。


「あの、まだお名前をお聞きしてなかったのですが」

「え?…あぁ、すいません。舞です」

「舞さん、ですね」


……うわ。

さっきから何回も聞いてた声だけど、改めて名前を呼ばれて思った。

低くて色っぽい声。

っていうか、黒埼さんにだけ名乗らせておいて私は名乗ってないって失礼過ぎでしょ、私。

つくづく、自分は上流階級の付き合いには向いてないと思い知らされた。

「以前お見かけした男性は舞さんの恋人ですか?」

「男性?…あぁ、ハルちゃんですね。恋人なんかじゃありませんよ!ただの幼馴染みです」

「でも、随分仲が良さそうでしたけど」

「ハルちゃんは昔から私に何かあると守ってくれてたんです。あの時もいきなり母とお別れすることになって、その上お葬式や何かでバタバタしちゃってて、落ち込んでた私を支えてくれてたんです」

「そうだったんですか」


…そうだ。

こっちに帰って来たってこと、まだハルちゃんに伝えてないっけ。

後でメールしとこ。

ハルちゃん、ずっと私の事気にかけてくれてたし。



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